「平和を作る人たち」
著者: 安芸 基雄、みすず書房、1985年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
安芸さんは 1919年生まれ、応召して関東軍に配属、
シベリア抑留、出版の時点では虎ノ門病院の医師、
無教会キリスト教者だそうです。
昭和56年の聖書集会での講義が
「みすず」誌に2号にわたって掲載されたものに修正加筆したものの由。
あの苛酷な時代の学生生活、軍隊経験、
シベリア生活、帰国後の日本での生活を通して
キリスト・内村鑑三・ガンディー・矢内原忠雄等に学びながら
非暴力・平和を自分の体で学び深めていった人生を
真摯率直に文章にしておられます。
いろいろ紹介したい文章はありますが
最後に近い「偽りの民族主義と非暴力の精神」に
こういう部分があります。
さればとて私たちは、アメリカの援助を借りて
自分の国を守ろうとも思わない。
・・・侵入する国があるとしても、もし日本に侵入者たちに対して
悪意を抱くことなく、しかも彼らの非行暴虐に屈従するよりは
毅然として生命を投げ出そうとする相当数の人たちがいるならば、
彼らは不義の圧制から自由になる道を示すことができよう。
われわれも卑怯者にはなりたくないし、その限りにおいては、
戦争という最悪の暴力を否定するためには、
相手を殺したり傷つけたりすることなく、
喜んで「行動するか、死か」の道を選ぶであろう。(p280)
鞍田の個人的感慨:
20年前に この本を買い、読んだ筈ですが、
そのときには感銘を受けた記憶が無いのです。
ただ 今 ふと本棚に見つけて読み直し
こういう先輩(私より16年年長)が「居て下さった」ことに、
20年前に「今 読んで感銘を受ける言葉を残してくださっている」ことに
勇気と励ましを 戴いた思いです。