【書籍紹介】「パール判事・・・・東京裁判批判と絶対平和主義」 | 非暴力平和隊・日本(NPJ) 書籍紹介コーナー 

【書籍紹介】「パール判事・・・・東京裁判批判と絶対平和主義」

分厚い講談社文庫を何度か手にとっては本棚に戻していましたので、新聞の書評に魅かれて読みました。
パールさんが、何故「A級戦犯の無罪」を主張したかを知ることが出来、そして ガ
ンディーを指導者と仰ぐ非暴力主義者であり、日本の再軍備や憲法に踏み込んだ発言をしていることを知り ほっとしました。
コメントするだけの力がありませんので 何箇所か 抜粋しておきます。
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「パール判事・・・・東京裁判批判と絶対平和主義」

            中島 岳志(北大准教授) 白水社
まず パールさんの発言です。
「われわれは、このガンヂーの3つの信念(平和・非暴力・不服従)を忠実に守り、
たたかってきたのであり。」1952年、早稲田大学での講演。  
「再軍備に反対する日本の人たちは、あるいは将来軍備を持つ国に非常に苦しい目にあわされるかも知れないという不安におののくであろう。しかしあえてその苦しみの渦中に未を投ずるとしても、戦争という『悪』に加担しないという信念を堅持されることのほうが、終局において建設的であり勝利であると私は確信している。」1952
年、東京大学での講演。
「無抵抗主義は戦争をより以上の勇気を必要とする。日本は武器をもって無類に勇敢だったが、平和憲法を守ることでも、無類の勇気を世界に示して頂きたい。」1952
年、京都での講演。

  
著者・中島岳志さんの立場はこうです。
「日本の為政者は様々な『過ち』を犯し、『悪事』を行った。またアジア各地では残
虐行為を繰り返し、多大な被害を与えた。その行為は『鬼畜のような性格』をもって
おり、どれほど非難してもし過ぎることはない。」「あくまで国際法上の刑事責任に
おいて『無罪』であるということを主張しただけで、日本の同義的責任までも『無
罪』としたわけではない。」(パール判決書)
「アメリカ追随を深め、イラク戦争をサポートし、憲法9条の改変に突き進む二十一
世紀の日本、パールが生きていれば、このような現状をどのように評するであろうか
? 彼の残したメッセージは、近年の右派論壇にこそ突きつけられている。」(終
章)
「本書ではパールの主張の全体像を提示することを、第一の目的とした。パールのご都合主義的利用が横行する現代日本において、まずパールの発言を体系化しておく必要があると考えたからである。」(あとがき)