非暴力平和隊・日本(NPJ) 書籍紹介コーナー  -4ページ目

高遠菜穂子 「戦争と平和:それでもイラク人を嫌いになれない」

タイトル: 戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない
著者: 高遠 菜穂子



・・・目次・・・


序 章: なぜ私は、拘束されたのだろう
第1章: 拘束の9日間 ~あの日、いったい何が起きたのか~
第2章: 再生への道 ~開放から帰国まで、そして帰国後の日々~
第3章: 初めてのイラク 03年4月~7月のイラク日記
第4章: ストリートチルドレンとの出会い 

      ~行き場を失った子どもたちと向き合う日々~
第5章: イラク再訪  03年11月~04年2月のイラク日記
あとがき  


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

できれば高遠菜穂子さんの前著

『愛してるって、どう言うの?― 生きる意味を探す旅の途中で 』

とあわせてお読み戴きたいと思いますが、

お忙しい方のためには111ページからの6ページ、

新聞でも伝えられたように高遠さんが拘束した人たちに

非暴力を訴えられた部分だけでもお読みいただきたく存じます。


またこの部分を理解するために、それ以前に非暴力について、

  

  「戦いと復讐にしか答えを見出せなくなっている人々を見て、

   幾度も涙をこぼし、彼らと口論しているうちに、

   疲れ果ててしまったのだ」 -273ページ-


  「イラク人はなかなか非暴力主義を理解してくれませんが、

   それでも、日本に対して、

   『なぜ戦争を放棄して暮らしていけるのか』

   という興味は強く持っています。

   ところが、戦争を放棄したはずの日本人が、

   軍服を着てやってくる。

   いったい、どういうことなんだ?

   というのが彼らの本音なのです」 -277ページ-


と書いておられることも付記させて戴きます。

                              

                            (文責:鞍田 東)

高遠菜穂子 「愛してるって、どう言うの?」

タイトル: 愛してるって、どう言うの?―生きる意味を探す旅の途中で
著者: 高遠 菜穂子


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


朝日新聞の書評で知り、取り寄せて読みました。

静かに感動しています。


事件についての報道で、この方が「お一人で」行動されているとあり、

その意味が分からなかったのですが、とてもよく分かり、納得しました。


昨年の4月に第5刷が出たということは、

すでに多くの方はご存知なのだろうとは思いましたが、

改めていよいよ高遠さんへの敬意を表させていただくという気持ちから

紹介させて戴きます。


                                 (文責:鞍田東)

トライ・デンティング・イット・ハンドブック (Tri-Denting It Handbook)

これは 英国の「トライデント潜水艦に配備されている

英国の核兵器システムを、堂々と責任を持って、

安全かつ平和的に廃絶する」ことを目指している

「トライデント・プラウシェアズ(Trident Ploughshares)」

という団体のハンドブックです。
 

この本の内容は・・・


  1章 トライデント・プラウシェアズの概要
  2章 トライデント・プラウシェアズの組織概要
  3章 国家との対話
  4章 これまでの活動
  5章 トライデント潜水艦非武器化の実際
  6章 核兵器の現状
  7章 法的説明および法廷と刑務所のための手引
  8章 トライデント・プラウシェアズとマスコミ報道
  9章 ガイドラインおよび必要書類
  10章 関連リストと関連情報


となっています。A4版、212ページ。
 

非暴力平和隊・日本(NPJ)理事の川端国世さんが翻訳に参加されています。

 

書籍というものは 当然 「全部を丁寧に読んでから」ご紹介すべきでしょう。
が、現在 1章・2章 そして9章を読んだだけですが 

非暴力実践について「基本的なことからとても丁寧に」

記載されていることにとても感動し、

皆様にも「早く」ご紹介したくなりました。
 

NPJとは 目的は違いますが、NPへの多数の方々の

幅広い支持を得ることが出来るようになるため、

NPJが 現在の(やや極端な言い方ですが)

「NP学会」~「君島・大畑両代表の活動を支援する会」

のようになっている状態から脱皮してゆくためには

私ども会員は 日常 どのように活動するべきなのか、

これをやり易くするためには

どのような組織にしてゆかなければならないか

ということを考えるうえでは 示唆される点があり・・・例えば

「アフィフィニティグループ」、「コアグループ」のありようなど・・・

とても参考になるのではないかと思いました。

 

入手を希望される方は 日本YWCA(電話 03-3264-0661) へ

お申し込みくださいとのことです。

費用は 1冊1000円と送料実費とのことです。


                       (2004年12月27日・文責 鞍田東)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


第1章 トライデント・プラウシェアズの概要、

第2章 トライデント・プラウシェアズの組織概要 に続く
第3章 国家との対話 第4章 これまでの活動 を読ませていただきました。
 

「国家との対話」には A4版27ページにわたり

「政府ならびに軍部との対話の大要」として2年間に交わされた42通

「警察との対話」として5通の文書、

及び 国会議員と政府とのやりとりの記録が収められています。

その論理を積み上げて迫ってゆく執拗な姿勢に大いに学ばされました。


「これまでの活動」には 24ページにわたり

様々な具体的活動が37枚の写真入で紹介されています。
写真の中には 日本山妙法寺の方々の活動が

紹介されているもの2枚もありました。
 

私どもと同時代の「非暴力による行動」の姿が これだけ具体的に

そして整然と紹介されたものを 初めて読み 頭が下がる思いです。

これで まだ 半分に達していません。


「非暴力実践」について お考えになっている皆様に

どうぞ と お勧めさせて戴きます。合掌   

                         

                        (2005年2月2日・文責 鞍田東)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


このほど やっとのことで

「トライ・デンティング・イット ハンドブック

 ― トライデント・プラウシェアズ公開手引き書」 を読み終えました。
今まで 何も知りませんでしたので これだけ重厚な活動が 

現に この地球の上でなされていることに 感動・感激しています。
 

お忙しいのでしょうが NPJ理事の川端国世さんにお時間を割いていただき 

非暴力連続講座*の企画の中でお話を伺いたいと思い、

提案させて戴きます。 合掌



■追申
YWCA(電話03-3264-0661)に御願いすると

1000円で分けてくださるそうです。

・・・これが辛いというかたには お貸しします。
いろいろな意味で 学ぶことの多い素晴らしい本だと思います。       

                                 

                       (2005年4月6日・文責 鞍田東)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


*「非暴力連続講座」は、非暴力平和隊・日本(NPJ)とピースネットが共催で

 ほぼ毎月開催している「非暴力」に関する公開講座です。

 非暴力連続講座については、こちら をご参照ください。

娘と話す 非暴力ってなに?

タイトル: 娘と話す 非暴力ってなに?

著者: ジャック セムラン, Jacques S´emelin, 山本 淑子




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昨年末購入し、一度ご紹介しましたが、再読し良い本だと思いました。
まだホームページの参考図書にも掲載されていないようですので

改めて紹介させていただきます。 


『はじめに』は 

 

  「パパ、非暴力ってへんな言葉だね。どういう意味なの?」

   二十年来、暴力と非暴力行動について研究している専門家として、

   十三歳と八歳の娘にわかりやすく説明するには、

   いったいどうしたらいいのだろうか。


という文章で始まります。


そして この本の最後に寄せられた高橋源一郎さんの文章は

 

   筆者は、絶対に『権力』や『暴力』に訴えない

   語り方をしなければならないのです。

   ・・・この本の中で筆者が実現した『語り方』の中にこそ、

   唯一、『暴力』をその基盤から打ち破る方法が

    隠されているのではないでしょうか。


と終わっています。


内容については お読み戴くしかない・・・
私には要約出来ないのですが、

95ページには 「国際平和部隊という団体が、

危険を覚悟で監視のためのつきそいをした」


98ページには 「コソボ・・・ルゴヴァを中心に
武器を持たずに勇気ある抵抗をはじめた」
というような文章もあります。


又 31ページには「合気道って知ってるだろう?

・・・非暴力的に戦えるスポーツなんだよ」
などという箇所もありました。


合掌

アンベードカル 「ブッダとそのダンマ」を読んで

タイトル: ブッダとそのダンマ
著者: B.R.アンベードカル, 山際 素男 

  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨年9月に求めたこの本を ようやく読み終えました。

仏教が 今の時代の課題に応え得るのか

という問いに まともに答えようとされたアンベードカル

(インド不可触民・政治家・インド憲法起草者者)の

最後の著書です。


この第1章で アンベードカルは 

シッダールタ(釈尊)の出家の決意について 敢えて 

「コーリヤ国との開戦をめぐるシャカ族の内紛」

という話を創作しています。


内容は

 「集会での宣戦布告の提案に対し
  『戦争はいかなる問題をも解決しない。

   ・・・慎重に調査すべき』と提案。
 

 これが否決されても

  『諸君の軍隊にも入らなければ戦争にも加担しない』と発言。
 

 更に、ルールに従って

  『絞首刑か追放か』を受け入れることを表明し、

   この措置に伴う政治的困難を回避するため、

   最後に『私が出家しこの国を去ること』を提案、実行した」


というものです。


こういう姿勢で 多くの仏典の中から編纂し、必要があれば「創作」し、

これにアンベードカルなりのコメントを付したものです。
仏教に 何等かの関心をお寄せくださっている方に

ご紹介させて戴きます。               合掌

「人道的介入―正義の武力行使はあるか」

タイトル: 人道的介入―正義の武力行使はあるか

著者: 最上 敏樹


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


既に お読みになった方は多いのでしょうが 

静かに感動しましたので 敢えて 投稿させて戴きます。


「序 世紀の難問」に 

「無辜の人びとがなぶり殺しにされているときに、

私たちは何もしなくてよいか」

「人は平和のためにどこまで危険を引き受けることができるか」

という問いかけがあります。

そして 様々な『人道的介入(不介入)』の事例についての検討がされています。


これを受けて 第4章・4で「軍事力の限界」について、

第5章で「市民的介入の論理」について述べられています。

そして 「終章」は「【終わりなき】課題」となっているのですが、

この方の論調を読んでいますと、「非暴力平和隊」が

その課題への最初の答えになる可能性があるものだと

思わざるを得ません・・・勿論 多くの困難はありますが・・・。

この本には 「オクスファム」

「ヒューマンライツ・ウオッチ」などのNGOには触れてありますが、

「PBI(国際平和旅団)*」「非暴力平和隊」についての言及はありません。


2001年10月発行ですから 非暴力平和隊発足の1年前なので、

最上さんは 創設への動きをご存知なかったのでしょうか。

具体的名活動が始まっていないので 控えられたのでしょうか。

或いは このような活動に疑問をお持ちだったのでしょうか。
このあたりを 伺ってみたいと思いました。

とても誠実な姿勢で この問題について解り易くまとめられた

有難い本でした。


合掌   


*PBI(Peace Brigade International、国際平和旅団)の

 ウェブサイトはこちらです。

 http://www.peacebrigades.org/

スリランカについて~庄野護さんの本の紹介

以下の2冊の庄野護さんの著作、出版は「南船北馬舎」です。


庄野さんは1950生まれ、鶴見良行さんから多くを学んだ方だそうで

89年よりスリランカのスラム開発に海外青年協力隊員として、

又 NGOのボランティアとして7年間参与した方だそうです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1. 「スリランカ学の冒険」1996年


「まえがき」で「スリランカの人と風土についての体験的解読である」

と書いてありますが、26のテーマについて

分かり易く書かれています。

この本の「日本文学の中のスリランカ」という章に

岡村隆「泥河の果てまで」(講談社・1988年)

という本が紹介されていました。


     


スリランカ学の冒険       泥河の果てまで

 著者: 庄野 護          著者: 岡村 隆


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2. 「国際協力のフィールドワーク」1999年


第1部 国際協力のフィールドワーク

全15章のうち8章はスリランカに関するものです。

(あとは インド、バングラディシュなど)


第2部 住民参加のスラム開発

スリランカのケーススタディーの2部構成です。
読み終えて スリランカというところが 

少し 身近に感じられるようになったと思います。


非暴力平和隊・日本(NPJ)ウェブサイトの参考文献のページに

載っていないようですので ご参考までに。    合掌


       
  

国際協力のフィールドワーク
 著者: 庄野 護
                         

「平和を作る人たち」

タイトル: 平和を作る人たち

著者: 安芸 基雄、みすず書房、1985年


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

安芸さんは 1919年生まれ、応召して関東軍に配属、

シベリア抑留、出版の時点では虎ノ門病院の医師、

無教会キリスト教者だそうです。

昭和56年の聖書集会での講義が

「みすず」誌に2号にわたって掲載されたものに修正加筆したものの由。


あの苛酷な時代の学生生活、軍隊経験、

シベリア生活、帰国後の日本での生活を通して

キリスト・内村鑑三・ガンディー・矢内原忠雄等に学びながら

非暴力・平和を自分の体で学び深めていった人生を

真摯率直に文章にしておられます。


いろいろ紹介したい文章はありますが

最後に近い「偽りの民族主義と非暴力の精神」に

こういう部分があります。


   

   さればとて私たちは、アメリカの援助を借りて

   自分の国を守ろうとも思わない。

   ・・・侵入する国があるとしても、もし日本に侵入者たちに対して

   悪意を抱くことなく、しかも彼らの非行暴虐に屈従するよりは

   毅然として生命を投げ出そうとする相当数の人たちがいるならば、

   彼らは不義の圧制から自由になる道を示すことができよう。

   われわれも卑怯者にはなりたくないし、その限りにおいては、

   戦争という最悪の暴力を否定するためには、

   相手を殺したり傷つけたりすることなく、

   喜んで「行動するか、死か」の道を選ぶであろう。(p280)

 

鞍田の個人的感慨:
20年前に この本を買い、読んだ筈ですが、

そのときには感銘を受けた記憶が無いのです。
ただ 今 ふと本棚に見つけて読み直し

こういう先輩(私より16年年長)が「居て下さった」ことに、

20年前に「今 読んで感銘を受ける言葉を残してくださっている」ことに

勇気と励ましを 戴いた思いです。

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」―ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」
著者: アレン ネルソン, Allen Nelson


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


元米国海兵隊員で、ベトナム帰還兵のアレン・ネルソンさんのお話が

『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(講談社、1365円)になり、

増刷を重ねてます(8刷)。


彼は今、日米で精力的に講演活動・反戦平和運動に取り組んでいます。
この本には、貧困にさいなまれていた子ども時代のこと、

貧困から抜け出すために軍隊に入り、

オキナワのキャンプ・ハンセンで訓練を受けたこと、

その訓練内容やオキナワでの生活、

ベトナムへと派兵されていき初めて「本当」の戦争の残忍さを体験した話など、

一気に読めてしまう内容です。


そして先日、この話が『週刊少年マガジン』

1月4日発売号と1月12日発売号で

漫画となって掲載されました。

各50ページずつです。


漫画化の作者は「語り継がれる戦争の記憶」シリーズなど、

戦争と平和をテーマとした作品を手がけてきた三枝義浩氏です。

このアレンさんが掲載されるコーナーでは以前、

「汚れた弾丸」というタイトルで劣化ウラン弾の問題なども取り上げています。


是非、ご覧ください。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


      


語り継がれる戦争の記憶

著者: 三枝 義浩




汚れた弾丸―劣化ウラン弾に苦しむイラクの人々

著者: 三枝 義浩

トルストイ 「胸に手を当てて考えよう」

トルストイ 「胸に手を当てて考えよう」 

北御門二郎 訳、地の塩書房、1992年


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


NPJのウェブサイトの参考文献のページで

取り上げていないようですので提案させて戴きます。
理由は 二つあります。


1.本の題名になっている「胸に手を当てて考えよう」は

1904年 日露戦争に際し トルストイが発表した文章で、

自国が当事者である本格的な「戦争」に対し

真っ向から批判している古典的な文章として

今読み直しても全く新鮮な感動を覚えたからです。
当時の安部磯雄との往復書簡なども収められています。


2.巻末の訳者・北御門二郎さんの

「わが若き日の『戦争との戦争』の思い出」を

若い方々に読んで戴きたいと思ってです。


『戦争との戦争』は 反戦運動ではありません。
北御門さんは 1938年(盧溝橋事件の翌年)

トルストイ・カントに学んだものを信念として

徴兵猶予の手続きを放棄したうえで 

銃殺を覚悟して 徴兵検査に出頭しないという行動をとりました。
その前後の状況、心境が 当時の日記などをもとに

赤裸々に記してあります。


ペンを持たれた1976年には

「当時の自分自身がかわいそうで涙がこぼれそうになる」

と書いておられます。